柔和な人





「柔和な人は幸いです。
闘わずとも結局は地をうけつぐ。


最近この言葉に再び出会いました。


柔和な人とは
地とはどこのなのでしょう。
いつのことを言っているのでしょうか。


聖書のなかだけの話と受け止めるのか、
それとも今の私たちの状況にたいしての言葉なのでしょうか。




東北震災の後、日本人にたいして感じられるすがたは
この「柔和な人」です。


「柔和な人」
私はある東北人の詩に見出しました。


彼は地を受継いだのでしょうか。
柔和な彼は、そうではない人々より長くこの地には留まってはいませんでした。
しかし、彼はそうでない人々より別の形で地を受継いでいます。


彼は
宮沢賢治




雨にも負けず  風にも負けず 

雪にも夏の暑さにも負けぬ 丈夫なからだをもち


慾はなく 決して怒らず いつも静かに笑っている 


一日に玄米四合と味噌と少しの野菜を食べ 


あらゆることを 自分を勘定に入れずに 


よく見聞きし分かり そして忘れず


野原の松の林の陰の 小さな萱ぶきの小屋にいて

 
東に病気の子供あれば 行って看病してやり


西に疲れた母あれば 行ってその稲の束を負い


南に死にそうな人あれば 行ってこわがらなくてもいいといい


北に喧嘩や訴訟があれば つまらないからやめろといい


日照りの時は涙を流し 寒さの夏はおろおろ歩き


みんなにでくのぼーと呼ばれ 褒められもせず 苦にもされず


そういうものに わたしはなりたい




宮沢 賢治「雨にも負けず」













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